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くすりはからだの中でどうなるの?

1日1回飲めばいい薬もあれば1日3回飲まなければいけない薬などいろいろあります。すぐに効果がでてくるものもあれば、ゆっくりと効いてくるものもあります。この違いはどこから生じているのでしょう。薬を使用した時に、体の中でのどのように効いていくのかを説明します。

錠剤やカプセルを口から飲んだ場合

薬の効き方

口から飲んだ薬は、食道から胃を通過して主に小腸から体内に吸収されます。薬は胃では胃酸や消化酵素に攻撃をうけます。分解されてしまうと、多くの場合効果が失われていきますので、薬によっては腸溶錠といって胃では溶けないように工夫されているものも多くあります。小腸では薬は、消化液に溶けて吸収されます。
一般的には油に溶けやすい薬はよく吸収され、水にしか溶けない薬は吸収されにくいといわれています。製薬会社では、製剤の技術で吸収されやすいように工夫しています。

小腸から吸収され門脈系を通り肝臓に到達した薬は、肝臓で様々な酵素によって代謝されますが、全身をめぐる循環血液に入っていきます。循環血液に入る薬の割合が高いほど薬は、優れた効果を発揮し、各臓器に速やかに運ばれていきます。この循環血液に入ることができない薬剤は、口から飲む薬剤には適していないので、注射剤や坐薬などの製剤となります。

身体の組織に到達した薬は、そこで作用を発揮することになりますが、再び血液で肝臓に運ばれ代謝されます。
身体の組織のなかで脳には血液脳関門という関所のようなバリアがあり、大事な脳にいろいろな物質が血液側から脳内に入らないように制御しています。睡眠薬、抗ヒスタミン薬、抗てんかん薬などの脂溶性の高い薬は血液脳関門を容易に通過して、脳内に入っていきます。

肝臓の主な役割は薬などの異物を代謝(解毒)することと胆汁中へ排泄することです。肝臓にはいろいろな酵素がありますが、中でも重要なのが、チトクロームP450と呼ばれている酵素です。薬にはこのCYP450の活性を高めるものと低下させるものがあります。薬の飲み合わせでもこの酵素は重要です。
薬として作用したあとは、腎臓を通して尿として体外に排泄されるほか、肝臓から胆汁の中に排泄されて便、汗や唾液として一緒に体外に出ていきます。

このように薬は、吸収、分布、代謝、排泄の過程をたどって役割を果たしています。

薬の効果を高める工夫

薬の種類によっては、「素早く代謝されることによって、すぐに体の中から消失してしまう薬」もあれば「腸からの吸収が悪い薬」もあります。これらの薬の有効時間を長くしたり、吸収を改善したりする製剤の技術を「ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)」といいます。必要な薬物を必要な時間に適切な場所に届けることを可能にする技術が、DDSです。

放出制御タイプ

◎徐放製剤
薬をゆっくり溶けださせることで、血液中の薬物濃度を一定に保たせるように工夫されている。

◎腸溶性製剤
胃では溶けずに腸で溶けるように設計されている。

吸収改善タイプ

◎プロドラッグ
有効成分の構造を変えて、腸からの吸収が良くなるように改善している。

◎投与経路の変更
腸からではなく、鼻や肺から薬を吸収されるように変更する。

標的指向タイプ

◎薬剤の修飾
高分子による修飾などを行い、目的とする標的に効率よく薬剤を届けるように設計されている。

◎目的部位に直接投与
作用させたい標的部位に直接投与するように設計されている。

皮膚に貼って吸収する場合

皮膚の組織は、表皮、真皮、皮下組織の3つの層からなりたっています。表皮は固く外部からの侵入されないようにしていますが、10μmの厚さで薄く、その下の真皮には、毛細血管が発達していて薬を吸収します。表皮は薬が入りこめませんが、汗腺から吸収される薬は患部へ到達し、効果を発揮できます。

吸入薬の場合

小腸では吸収されないような大きさの分子薬が、肺からならば速やかに吸入されることができます。直接に患部に作用する喘息の薬、インフルエンザ薬やCOPDの薬などの吸入薬が代表です。他の臓器への負担や副作用が少ないことがメリットです。

最後に

薬が効果を発揮するために、さまざまな体の仕組みを考慮して、製剤がつくられています。最大限に効果が発揮され副作用を出さないためには、決められた使い方、飲み方や量を守ることが重要です。自己判断はしないでください。飲みづらいことがあったり、飲むタイミングが生活に合わないなどありましたら、あなたのかかりつけの薬局へどうぞご相談ください。

最後に


監修


  株式会社 医療経営研究所
薬剤師 富永 敦子
NPO法人 ふぁるま・ねっと・みやぎ理事/(社)宮城県薬剤師会常任理事/
(社)日本薬剤師会編集委員/みやぎ21健康プラン推進協議会委員
1959年生   茨城県出身
1982年   東北大学薬学部卒業


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