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水虫にならないために

 水虫とたむしは白癬と呼ばれ、皮膚糸状菌というカビによって生ずる感染症です。特に水虫は、夏になると日本人の4人に1人見られると予想されるほどありふれた病気です。しかしながら、一度かかるとなかなか治らず悩んでいる方も多く、自己流にいろいろと試している方もみかけます。今回は水虫について取り上げます。

水虫はどこにできるの?

 白癬菌はケラチンという蛋白を栄養源に生きているカビですので、ケラチンが多く存在する場所であればどこにでも感染します。ケラチンが多く存在する場所は皮膚の表面を覆う角層(垢となって落ちる場所)ですので、白癬は皮膚の表面に病変を作ります。
 粘膜にはケラチンが余りありませんので、口の中が白癬になることはありません。また角層が変化したものが、毛や爪ですので、毛や爪に白癬菌が感染することもあります。

水虫はどこにできるの?

どのようにうつるのですか?

温泉場や銭湯、あるいは足の水虫患者がいる家庭の足拭きマットには、白癬菌が存在します。入浴後にそのようなマットを利用すると、白癬菌が足に付着します。そのまま素足でいれば、足が乾燥し、足に付着した白癬菌は剥がれ落ちますが、白癬菌を付着したまま、靴下・靴を履き続けると、長時間白癬菌が足に付着して足白癬になってしまいます。
 そして足白癬になった人が、今度は家庭内の足白癬の感染源になり、家庭内の畳、床、スリッパなどに白癬菌をばらまくことになります。そうすると同居している足白癬でない人もやがて足白癬になってしまう可能性がでてきます。
 また最近は柔道などの格闘技を行っている選手の間では、足白癬ではありませんが、カビによる白癬が練習や試合を介して集団発生することもあります。

どのような症状ですか?

 「足の指の間や足の裏がかゆい」、「足の指の間がふやけて白くなったり、ジュクジュクする」、「足の指の間や足の裏の皮が剥ける」「足の裏に小さい水疱ができる」などの症状が毎年夏になると生じ、秋になると自然に治るというエピソードがある場合は、足白癬の可能性が高くなります。
 足白癬は3つのタイプにわかれます。足の裏に小さな水膨れが生じ、水膨れが破れると皮が剥ける小水疱型(汗疱型)と足の指の間の皮が剥けたり、白くふやけたりする趾間型、ヒビ、アカギレのように足の裏全体が硬くなる角質増殖型です。
 ただし角質増殖型は稀な病型です。小水疱型や趾間型は、季節的に暖かくなると症状がでて、涼しくなると自然に症状が治まってきますが、角質増殖型は季節的変動がなく、むしろ冬期にはひび割れて痛いこともあります。
 角質増殖型の足白癬は爪白癬(爪の水虫)を合併しています。小水疱型、趾間型の足白癬は長い間治療せずに放置していないと爪白癬を合併することはありません。
 足白癬と紛らわしい皮膚病は沢山あり、皮膚科専門医でもみただけでは診断はつきません。直接鏡検がきちんとできる皮膚科専門医を受診して、診断を確かめて下さい。

どのような症状ですか?

治療法は?

 皮膚の角層に感染した白癬は、抗真菌作用を有する塗り薬をきちんとつければ、良くなります。
 水虫では、自覚症状がない部分も含め、指の間から足の裏全体に、最低4週間毎日治療を続けないと治りません。しかし角層がかなり厚くなっている角質増殖型と呼ばれる病型や、白癬菌が髪の毛や爪に寄生している場合は、飲み薬を飲まないと治りません。飲み薬は全ての白癬に有効ですが、副作用や他の薬剤との飲み合わせの問題があるので、注意が必要です。
 市販されている水虫薬でも治すことができます。ただし、かゆみや水疱など足白癬とよく似た皮膚病はたくさんありますので、素人判断で足白癬と判断することは危険です。一度皮膚科専門医を受診し、直接鏡検によって診断を確かめてから、市販薬を使用して下さい。
 ただし足白癬は再発、再感染が多いのですが、水虫の処方薬を足白癬の予防や再発予防の薬として処方することは保険では認められていません。そのため、足白癬の予防目的で、市販薬を使用したら良いのではないでしょうか。

治療法は?

こわい水虫とは?

 白癬そのもので死亡することはありません。また現在優れた抗真菌薬がありますので、治療も可能です。しかし足白癬、特に趾間型の足白癬では、しばしば趾間の亀裂や糜爛面から、細菌が真皮内に侵入し、蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの細菌感染症をおこすことがあります。
 実際、蜂窩織炎は足と下腿でおこります。その多くは、趾間型の足白癬の傷口から細菌が感染したものです。感染した細菌が劇症型の溶連菌だったり、壊死性筋膜炎をおこすと、死に至ることがあります。特に趾間の皮膚は薄いため、その傷口から細菌が侵入することは多いので、普段から足白癬、特に趾間型の足白癬の治療をしておくことが大切です。

わい水虫とは?

爪水虫とは

 爪白癬は痒くなることはありません。爪の症状には色々ありますが、一番多いのは爪が白~黄色に濁って、厚くなることです。そしてその爪の下がボロボロになるのも大きな特徴です。
 爪白癬は爪の先端から始まり、徐々に根元のほうに拡大することが多いです。また爪の先端から縦に黄白色の筋ができることもあります。通常は見た目だけの問題ですが、爪が分厚くなると、靴にあたって痛くなったり、歩きにくくなったりすることもあります。そして何よりも白癬の感染源になりますので、治療をするべきです。
 ただし爪白癬になると原則として飲み薬でないと治りませんので、足白癬の段階で治しておいた方がよいでしょう。なお爪は外傷等で様々な変化が起きますので、爪の病変すべてが、爪白癬ではありません。

予防のために

銭湯やサウナなど利用した後

 大勢の人が使用する浴場では、足ふきマットにほぼ100%白癬菌がいます。白癬菌が皮膚内に侵入し、感染が成立するまで最低24時間かかりますで、足ふきマットを使用した場合は、きちんと水気をふき取り、十分足を乾かしてから、靴、靴下を履くことをお勧めします。
 十分足を乾かす時間がない場合は、家にかえってからすぐに足を洗いましょう。ゴシゴシ洗いをして皮膚に傷がつくと、かえって足白癬になりやすくなりますので、ゴシゴシ洗いは禁物で、撫でるようにあらうことが大切です。あるいは家に帰ったらすぐに水虫の薬を趾間から足の裏全体につけるのも有効です。
 あとは他人の家にむやみに上がらないことも大切で、他人の家に上った場合は、家に帰ったらすぐに、足を洗うか水虫の薬をつけると、家庭内に白癬菌を持ち込むことを防ぐことができます。

銭湯やサウナなど利用した後

家庭内に白癬患者がいる場合

 うつる可能性はかなり高くなりますので、家庭内の足白癬患者や爪白癬患者を治すことが最優先です。スリッパやサンダルの共有は避け、足ふきマットは別にするなど行ってください。
 一番確実なのは、水虫の塗り薬を指の間から足の裏全体に1日1回つけていれば、水虫になることはありません。しかし、再発予防のためには、薬局で水虫の市販薬を購入し塗るとよいでしょう。

靴の対策

 同居人に足白癬や爪白癬がなく、家庭外で靴を脱ぐことがなければ、靴のケアは必要ありません。もし、感染が心配な場合の靴のケアとしては、可能な限り頻回に靴を洗って、靴の中の白癬菌を取り除いて、しっかり乾燥させ、毎日同じ靴を履かないようにした方がよいです。
 また、洗えない皮靴などは、中を濡れ雑巾で拭いて白癬菌がついたアカを取り除き、その後しっかりと乾燥させることが大切です。
またできるだけ靴、靴下を履かないことも重要です。靴・靴下を履く場合は、通気性のあるものを選び、長時間靴をはき続けない方がよいでしょう。もし長時間靴を履き続ける場合は、時々脱いで風を通す、あるいは靴は2~3足用意してローテーションするか、できればサンダルのような風通しがよい靴を履くようにしましょう。
 また白癬患者がいない部屋では裸足、また会社に着いたらサンダルに履きかえるなど、なるべく足を蒸らさない工夫をしましょう。

最後に

 水虫をきちんと治すことが基本です。患部を清潔に保つことが重要です。入浴の際はせっけんで洗い、タオルで拭いてしっかり乾燥させましょう。また、薬の塗布は皮膚がやわらかくなっているお風呂上りの5分以内に、患部を中心に広めに塗るのがポイントです。
 水虫は治せる病気です。きちんと治療を行い、健康でキレイな足を目指しましょう!
 水虫かどうかよくわからない場合は、専門の皮膚科への受診が必要です。まずは、あなたのかかりつけの薬局へどうぞご相談ください。



監修


  株式会社 医療経営研究所
薬剤師 富永 敦子
NPO法人 ふぁるま・ねっと・みやぎ理事/(社)宮城県薬剤師会常任理事/
(社)日本薬剤師会編集委員/みやぎ21健康プラン推進協議会委員
1959年生   茨城県出身
1982年   東北大学薬学部卒業


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