汗について

はじめに

 蒸し暑い時や運動した後、または緊張したり驚いたりした時には、全身あるいは手の平や足の裏、わきの下に汗をかきます。また、汗の種類は、さらさらした汗やネバネバ、ベトベトした汗もあります。今回は、汗の出るしくみと役割、日常での対処方法などについて取り上げます。

汗の出るしくみ

 汗はそもそも何でしょう。血液が汗の出口である汗腺に取り込まれ、水分以外の成分のほとんどは再び血液に戻されますが、水分と再吸収されなかったミネラルの一部などが、汗線から出てきます。それが汗です。

 汗の主な働きは体温の調節です。人は体温をほぼ一定に保つように、汗をかいて熱を逃がしています。この発汗の種類を「温熱性発汗」といい、気温の上昇する時期や運動時、食事時など、体温の上昇を防ぐために、全身にある汗腺から汗が分泌されています。
一方、会議やテストで緊張したり、ドキドキした時に汗が分泌される汗「精神性発汗」といいます。いわゆる冷や汗です。手のひらや足の裏、わきの下、額などに部分的にかく汗です。汗線は交感神経に支配されているので、緊張により交感神経が刺激されて発汗するのです。
 また、辛い物を食べたときに、発汗神経が刺激を受けて汗が分泌されることを「味覚性発汗」といいます。額や鼻などに局所的にかく汗です。

いい汗と悪い汗

いい汗

 成分のほとんどが水分を占めています。さらっとしていてベタつきやニオイが少なく、すぐ乾きます。体温を下げることができます。

悪い汗

 ミネラルが再吸収されず、多く含まれています。ベトベト・ネバネバして蒸発しにくい。ニオイがでやすい。大粒でダラダラ流れることもあります。蒸発しにくいため体温を下げる能力は低いといわれています。

多汗をともなう疾患について

多汗症

 汗が病的なほど異常に出るのが多汗症です。体温調節を必要としない状況でも汗をかき、大きく分けると「局所性多汗症」と「全身性多汗症」があります。ブラウスの脇の下に汗のシミができることが気になる女の方やズボンのお尻の部分に汗をかいてしまうことが気になる男の方がいます。汗をかきやすい体質に精神的な影響が加わっておこる場合もあり、また原因となる疾患が潜んでいる場合もあります。気になるときは病院を受診して治療をうけましょう。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

 甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるのが、「甲状腺機能亢進症」です。全身に大量の汗をかき、甲状腺の腫れや手の震え、疲労感や体重の減少、さらに眼が突き出るなどの症状があります。20~30代の女性に多い疾患です。受診が必要です。

更年期障害

 閉経前後の10年間の更年期に、女性ホルモンのバランスが変化するためにホットフラッシュといわれるほてりやのぼせなど多汗が伴うこともあります。ひどい場合は婦人科に受診しましょう。

自律神経失調症

 ストレスなどが原因で自律神経が乱れて心や体が不調になります。不安や緊張、抑うつなどの心のトラブルや多汗、倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、不眠などの症状がおこります。

日常での汗対策

 体温調節のためのいい汗は熱中症予防など重要な役割がありますが、多汗症などの悪い汗は情動的なストレスになることもあります。それでは、いい汗をかくための対策について整理します。

1.汗腺を鍛えるためのおすすめ入浴法

浴槽に風呂椅子を入れます。椅子に座った状態で膝下が浸かる程度まで42~43度のお湯を張り、両手の肘から先と膝から下を10~15分つけると汗腺の機能が高まるといわれています。さらにお湯を足して36度ぐらいのぬるま湯に15分ほどリラックスして浸かるのが効果的です。

汗について
2.汗を拭くときは濡れたタオルを使いましょう

汗を拭くときは濡らしたタオルを使いましょう。汗の雑菌を取り除いてくれます。またこまめにシャワーをあびるのも効果的です。

汗について
3.衣服の選び方

衣服は熱の発散を妨げないものを選びましょう。とくに下着は通気性、吸水性、速乾く性に優れた綿素材がおすすめです。

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4.食生活と適度な運動

不規則な食生活はホルモンバランスを崩す原因になります。規則正しい食生活を心がけましょう。また、暑いからといって体を冷やすものばかりを摂らないようにしましょう。
ショウガやくずなど体を温める食品を積極的に摂りましょう。においの強い食品(にんにくなど)や刺激の強い香辛料のとりすぎは、汗のにおいに影響します。摂りすぎに気を付けましょう。また、ウォーキングなど適度な運動を行い、汗腺の正常な働きを保ちましょう。

汗について

最後に

 現代人は、運動不足や冷房設備の普及により汗をかく機会が減っています。汗をかく機会が減ると汗腺の機能が低下して、大切な体温を下げるための汗もかけなくなるという悪循環に陥ります。いい汗をかくことも大事です。自分の健康は自分で守ること、すなわち体調管理をしっかりしていきましょう。ご心配なことは、あなたのかかりつけの薬局へいつでもご相談ください。



監修


  株式会社 医療経営研究所
薬剤師 富永 敦子
NPO法人 ふぁるま・ねっと・みやぎ理事/(社)宮城県薬剤師会常任理事/
(社)日本薬剤師会編集委員/みやぎ21健康プラン推進協議会委員
1959年生   茨城県出身
1982年   東北大学薬学部卒業


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